吉田瀬七によるアート作品
青の枝を高く
高く、高く……
かつて愚か者が太陽を求めたように。
高く、高く……
ただの人間が星に憧れるように。
高く、高く……
幼い心のまま、月を求めるように。
◇◇◇
F4サイズの作品。
「星月夜」でゴッホは燃えるような糸杉を描いた。だから吉田瀬七も、燃えるような糸杉を描いてみたいと思った。
実際の糸杉は、街路樹には向かない樹木らしい。その中に、ゴッホは「命」を見たのか。
燃えるような「命」を観たのたか。
カラスウリ
サムホールサイズの作品。
先日、小説を読み終わってからカラスウリの絵を描こうと思い、資料を調べ、構図を考え、下書きもした。
吉田瀬七にしては、珍しく。
和紙にアクリル絵の具で描くとなかなか渋い色になるようだ。
「それは、溢れるような、青い月でした」
「それは、溢れるような、青い月でした」(サムホール)
あのとき、君と僕の世界は、
ほんの少しだけ重なっていた。
「それは、泣きたくなるほどの幸せでした」
◇◇◇
サムホールサイズの作品。
世界に「ありがとう」と言いたくなるような瞬間。それは、青い月の姿をしていた。
或る旅人の日記より 2024.7.15
ある町で天女の舞があるというので、見ることにした。
舞のことについても、天女のことについてもよく分からない。ただ、空の糸を織り込んだらしい天女の衣装の裾が、天女の動きに合わせて翻るのを見ていた。
そうしているうちに、ふと、悲しくなった。
天女の一人が私の耳元で囁いた。
「お代は、あなたの心を、ほんの少し」
向かう先
ありがとう。
君が教えてくれた僕の美しさを、ずっと大切にする。
◇◇◇
君が教えてくれなければ、僕は僕に気づくことができなかった。
ありがとう。
大切なことは、君が全て教えてくれたね。
ありがとう。
僕の美しさに気づかせてくれた、君の美しさを、僕は少しでも、君に伝えられたかな。
地獄は心と同じ場所にある
ずっと探していた場所は、生まれたところから動かずに、私を待っていた。
「こんなところにあったのだ」
と、種を蒔いた。
◇◇◇
ある人の旅の終わり。
そして、あるモノの命の始まり。
向日葵を追って
ごめんね、僕は君の望んだ大人にはなれなかった。
けれど、君が一番好きなことは、大切にしてきたつもりだ。
ありがとう、君が繋いでくれた命が、僕をここまで連れてきた。
きっと僕の想いも、誰かが未来に運んでくれるんだ。
ありがとう、本当に。
◇◇◇
アクリル絵の具、A4、ケント紙、ペン
「寂しくないの」と風が問う
「寂しくないよ」と彼女は笑った。
「今日は帰って来ないだけ。きっと、明日は帰って来る。あの人に話す思い出が、一日分増えた」
百年前と同じことを言って、彼女は笑う。
その笑顔が、本当に幸せそうだったから、彼女の代わりに泣くこともできない。
◇◇◇
アクリル絵の具、ケント紙、ペン、A4
手紙
今日の夕暮れはとても綺麗です。
鳥の番が仲良く飛んでいるのが見えます。
あなたが私の名前を呼んでくれた、その声が、徐々に記憶から薄れていきます。
それはほんの少し寂しいことだけれど、悲しいことではありません。
今日の思い出にさようなら。また明日。
◇◇◇
F10パネル、ケント紙、アクリル絵の具、ペン
「君」を聴かせて
「君」が美しいと思った景色を、
「君」が行きたかった場所を、
「君」が歌った歌を、
「君」が抱いた世界の感想を、
「君」が話したいことを……
◇◇◇
アクリル絵の具、ペン A4画用紙