見たもの、聞いたものの記録、その感想
「本物の画家」のこと
好きな作品を見つけると、何となくホッとしてしまう。
「ああ、良いものに出会ったなぁ」と。
好きな作品に出会えることは、運が良いことだ。出会った作品を、好きな作品だと気づいて、それを大切な人と共有できるのは、幸せなことなのだろう、きっと。
そういう絵が描ける人が「本物の画家」なのかもしれない。
絵を描く姿勢のこと
物心ついたときから、絵を描いていた気がする。
友達とわいわいはしゃいでいる記憶よりも、一人でしんみりとしていた思い出の方が鮮明である。孤独、というのとは違う。「影が薄い」とも言われたが、そういう自分に満足していた。敢えて言うなら、もっと背筋を伸ばして歩ける人でありたい。
絵を描いている姿勢は、いつも俯いている。そういう自分に慣れてしまっている。ただ、この頃描く絵は、凄みが足りないように思う。作品が悪くなったというわけではなく、落ち着いてしまった。吉田瀬七と同じように、絵も歳をとる、ということがあるのだろうか。
学生時代に描いていた絵を観ると、今は描くことが出来ないような凄みに驚く。また、あのような絵を描きたい。動きたい、と思う。
今日という日、和服を着て出かけたこと
今日、和服を着て出かける。
素人なので雑誌のモデルさんやお茶やお花のお稽古事のようなパリッとした着方ではない。何となく、ゆるりとしている。帯は黄色と黒の半幅帯を文庫結びで締める。着物は青地に柳の柄の薄物である。
ある公募展に応募した吉田瀬七の作品は賞候補だった。それが実際に飾られているのを観に行ったのである。
公募展には様々な作品が飾られていた。さすがに受賞作は力作揃いだった。吉田瀬七の作品はそれらに比べると力不足であることは否めない。新しい表現に挑戦したつもりだったが、却って、吉田瀬七の作品の個性を潰すことにはならなかったか。次の作品の為に考える。
これから数ヶ月は、仙台市内のカフェで開催予定の個展に向けて準備をする。手伝ってくれる家族には頭が下がる思いである。頑張ろう。
今日の作品のこと
背景にペンでたくさんの模様を、全体のバランスを見ながら頑張って描いたが、蝶を描いたら殆ど消えてしまった。勿体無い。
蝶はたくさん見かけるが、いざ描こうと思うと意外と複雑で難しい。
目の覚めるような青はウルトラマリン。
好きな色のこと
吉田瀬七は色が好きだ。
緑が好きだ。
緑の濃い通学路を通って、学校に通った。名前も知らない花をむしって母へのお土産にした。今でも、外に出ると緑に惹かれる。この季節には、強い緑の中に私の好きな花がたくさん咲いているので、嬉しい。青い露草はパッと明るい。白い百合の花の凛とした姿に憧れる。向日葵を見つけると妙にドキドキする。
緑には、命を感じる。
個展の準備のこと
吉田瀬七は11月と12月にカフェで個展を開催する予定である。まだまだ先のことだと思っていたが、そろそろ宣伝や作品の準備をしなければならない。
11月の個展では雲を描いた作品を展示したい。その為の作品もいくつか準備してあるが、宣伝用のDMに使う作品はどうしようかと迷っている。小さな作品をいくつか組み合わせて作っても良いだろうが、メインとなる作品をソロで使って制作した方がいい気がする。
夕暮れの赤い雲にしようか。安らぎの青い雲にしようか。覆い被さってくるような厚い雲にしようか。
愛犬の好きなもののこと
愛犬の全体像を描こうとするがいつも描いている顔の印象が強い為か、顔を大きく描いてしまったせいで胴と爪先がはみ出てしまった。そんな愛犬が好きなものは、母と餌と父の靴下。
今日描いたスケッチのこと
実家にいるうちに、実家にいる間にしか描くことのできない絵を描きたいと思う。大抵は愛犬の似顔絵だが、今日は母の肖像画も描いてみる。愛犬を描いた絵なら大抵「良いね」という感想をくれる母だが、自身の肖像画に対しては「もっと美しく描いて」と多少不満顔だった。面目ない。
愛犬と弟のこと
弟が帰ってきたときは弟のことなどすっかり忘れた様子で唸って睨みつけて、コソコソ距離を取ってばかりいた愛犬が、今日はやけに弟と仲が良い。ふと気づくと、一人と一匹で大して広くもないソファの上に寛いでいた。帰省して以来毎日餌をあげ、散歩に連れて行く吉田瀬七にすら、ここまで親しまない愛犬である。
正面から見た愛犬の表情のこと
久しぶりに正面から見た愛犬の表情である。
目が大きくて耳の毛がうねっている。姿だけなら気品に満ちていて賢そうだと言われる。実際には隙を見せると悪戯ばかりする犬である。
愛犬のこの頃のお気に入りの場所は和室の入り口の前。和室が一番涼しいので、そこが一番過ごしやすいらしい。今もその場所でぐぅぐぅ寝ている。
毎日描く愛犬の表情のこと
毎日描く愛犬の表情は毎日変わる。
愛犬の表情も毎日変わるが、愛犬を描く吉田瀬七の心持ちも毎日変わる。
今日描いた愛犬の表情は母から「可愛い」と感想を言われた。
実際は、もっと貫禄のある表情をしている愛犬である。
久しぶりの電話のこと
久しぶりに祖母に電話した。
声を聞くと、元気そうで安心する。背後ではひ孫たちがケンカをしているらしい賑やかな声が聞こえてきた。若いエネルギーから、良い刺激を受けて欲しい。