見たもの、聞いたものの記録、その感想
今日買った本のこと
吉田瀬七は本が好きだ。
フィクションが好きだ。画集が好きだ。純文学が好きだ。ファンタジーが好きだ。
今日、買った本はマツオヒロミさんの「万華鏡の庭」という画集。強気で、しかしどこか憂いを帯びた女性の視線に吸い寄せられる。レトロでオシャレな衣装も素敵だ。吉田瀬七も美人を描きたくなった。
今日の花、昨日の花のこと
今日の花は昨日の花ではなく、今日の花は明日の花ではない。
それでも、花は花というだけで綺麗だと、吉田瀬七は思う。
花はきっと、自分の美しいことを知っている。信じている、というより事実なのだと思う。
人が花を見て、美しいと感じるのは、多分そういうことだ。
空が鮮やかで雲が厚かったこと
帰省する車の中から見た風景。
この世界で誰かが泣いていて、誰かが笑っていて、誰かが幸せで、誰かが不幸せで。
けれど、鮮やかな空も厚い雲もそれを知らない。知っていたとしても、知らない風をして流れていく。
空を鮮やかだと思うのも、雲が厚くかぶさってくるようだと感じるのも、自分は今、幸せで、ちょっと不幸せだと考えるのも、吉田瀬七の勝手だろう。
世界にとっては、知らないことだ。
カラスウリのこと
今日、一冊の小説を読み終わった。
カラスウリをモチーフにした絵を描いてみようと思った。読み終わった小説の終盤で、主人公の息子の嫁がカラスウリを生けるシーンが印象に残ったからである。
インターネットでカラスウリについて少し調べてみると、菊や芍薬のように生ける花を咲かせる植物ではないようだ。
夜に花を咲かせる植物なのだ。
体が温かくてぼんやり重いこと
きっと、頑張った日だったのだと、吉田瀬七は思う。
とても良いことだ。いつもなら絵を描いている時間だが、今日はぼんやりしていよう。気が向いたなら、何か線でも引いてみようか。
吉田瀬七は頑張っている。今日眠れば、明日また、頑張れる。疲れたら、ぼんやりしよう。
人から親切にされること
人に意地悪をされると、人は他人に意地悪ばかりをすると思う。
人に親切にされると、人は他人に優しいものだと思う。
意地悪はなるべく受け流して、優しさには「ありがとう」を返したい。
当たり前のことだ。
けれど、難しいことだ。
行ったことのない場所に行ったこと
行ったことのない場所に行き、見たことのないものを見て、食べたことのないものを食べた。
こういう経験をたくさんして、たくさん語って、大事だと思うことは胸の中に仕舞って、時々取り出して眺めてみよう。
見上げると、厚い雲の隙間から青い空が見えた。
空は動くこと
夕方から、頭が重くなってきたと思ったら、空の色が変わっていた。
空の色が暗くなると、吉田瀬七の頭の中にも、雲がかかったように重くなる。耐えきれず、少し眠ったが、それでもまだ重いようだった。
これからの季節が思いやられる。
「細雪」のこと
谷崎潤一郎による小説。
吉田瀬七が和服に興味を持つようになった理由は色々あるだろうが、この小説による影響も決して少なくはないと思われる。
対照的な魅力を持った姉妹の姿が、谷崎潤一郎の筆により鮮やかに描かれている。まさに、絵巻物のような物語。
透明なゼリーのような容器のこと
光を描いた絵を見たときの感動。
苦しいとき一瞬だけ救ってくれた言葉。
二度と戻らない空の色。
それらを、透明なゼリーのような容器の中に、閉じ込めてしまえたら、などと考えた、蒸すような夜のこと。
ふせのりのこと
今日の吉田瀬七はクタクタである。
友禅染めの作業の一つ、ふせのり。
一日でこれくらいやるとしたら大体半日くらいかかることが分かった。
これくらい一生懸命にやっても綺麗に染まるかは分からない。滲みや染みも含めて友禅の醍醐味だとおっしゃったのは友禅染めを教えてくれている先生である。これから暑くなるが元気でいて欲しい。
日々勉強と失敗のこと
失敗をする。
やり直すことができるならやり直せばいい。最初からは難しいなら、途中からでも。
勉強をする。
教えられたことに腹を立てても、後から気がつくことがあるなら、それは学びだろう。
鳥は夜に舞い、魚は空を泳ぐこと
ただ単に思いついた言葉。
しかし、思いついたからには意味があるように思われる。
あり得ないことは存在し得ないということか。
単に美しいことの形容か。